« 鈴鹿に行ってきました | メイン | スパグレ平ボディ »

2005年10月23日

 ■ 運ちゃん時代の戯言
[ 戯言 ]

特に書く事も無いので、運ちゃん時代の事についてずらずらと長文を書いてみました。
運送業(地場)に興味ある人、暇な人は読んでみると良いかも。

関西で2t地場配送のトラックドライバーをしてました。
建材の配送なんですが、具体的には内装用のドアや部材、フローリング床材、外壁材、モルタル等ですね。たまにシステムキッチン等の配送、他の担当車の応援で家電製品や工業機械、アルミサッシ、洗剤等の日用品、缶詰・缶ジュース・加工食品等々。

勤務先はいわゆる傭車と呼ばれる部類の会社でしたが、その中でも専属に近い位置付けだったように思います。私の担当した仕事は荷主(某大手運送会社)に配送を委託してる建材メーカーの倉庫から各卸業者、又は直接現場へ荷物を配送するという感じです。

傭車はいろいろな荷主から仕事を請け負って配送する会社、専属は特定の荷主の仕事を専門に請け負う会社、という感じで認識しておけば良いと思います。他には大企業では自社便というのがあります。そのままの意味ですが、自社で保有するトラックで自社の配送部門が自社の荷物を配送するという事。

配送先は店卸し(建材の卸業者や工務店など)と現場卸し(戸建て住宅やマンション・アパート等の建築現場)のどちらか。
現場卸しで外壁材の配送の場合、クレーン付き4tで運んでクレーン卸しが普通なんですが、私は2t車に乗ってたので2t指定(要は狭い所)メインという事で全部手卸し('A`) 2t指定の場所は狭い所は本当に狭いんで、毎回現場に着くまで楽しみでもあり不安でもありという感じでした。ここなら4tでも余裕で入れるという所もあり、ミラーを畳まないと入れない所もあり、軽じゃないと無理という所だと停められる場所で停めて現場まで横持ち(手運び)というのもありました。最初から2tでも無理という場所では助手を付けてくれたりしますが、基本的には運転手が一人で卸します。偶然担当の職人が来ていれば卸すのを手伝ってくれたりする事もあります。現場に荷物を置くスペースが無い場合は卸さずに持って帰る事も偶にあります(後日、また行く事になるので二度手間ですね)。
店卸しは店の人が手伝ってくれる事もありますし、一人で卸す事もあります。大抵はフォークリフトを使って卸します。店によっては「適当に卸しておいて」と言われて自分で卸す事になるんですが、私の場合フォークリフトの資格を持ってない(講習も受けた事が無い)ので結構焦りますw 私有地内での運転なので法的には問題ないと思いますが、商品に傷を付けないようにというのだけはとても神経を使いました。運転自体は普段積み込み時にリフトマン(フォークリフト操縦士)の動きを見てるので何とかなります。店卸しで1件卸しのみだった場合なんかは店の人がフォークリフトで掬ってくれて、判子を貰ったら即終了なんていう理想的な(楽な)仕事が回ってきた時は、とても気分が良いですね。

乗ってたトラックはいすゞエルフの標準キャブ・標準ボディで架装タイプは平ボディです。クレーン付きで無かったのは積載重量と荷台寸法が取れなくなるから。クルマ自体の大きさは5ナンバー乗用車と大して変わらないんですが、最大積載量2,950Kgだったので1ナンバーで高速は中型料金を取られます(これが結構痛い、後述します)。皮置き場のAboutページでも触れてますが、3t弱も積める仕様なのでサスペンションが硬く、飲みかけのジュース等をカップホルダーに置いてる時は注意して走らないと悲惨な事になります。

1日の流れは大体下記のようなスケジュールでした。
出発時間はまちまち(8時頃までに1件目に到着したいのでそれに合わせる。大体5時前後出発。) → 1便目配達終了 → 積み込み先に戻る(昼前後) → 仕事があれば積み込んで2便目、無ければ宵積み(次の日に運ぶ荷物の積み込み)まで車両にて待機 → 夕方に宵積みして仕事終了。
走行距離としては50Kmも走らない日もあれば300Km以上走る日もあったりとまちまちです。だいたい100〜150Kmくらいが平均的。

配送は店卸しの場合、1便につき1件ではなく、2〜5件くらいの積み合わせが普通です。積み込み先の配車担当から荷物の指示書を貰う時点で配送先の住所が分かるので、どういうルートで走るかを考えた上で積み方を決めます。通常は一番遠い場所から順に卸していくルートを選択するので、近い荷物は下、遠い荷物は上に来るように積み込みます。2t標準ボディではパレットの左右積み合わせが幅が足りなく無理なので外壁材やモルタル等以外は殆どが手積みですね。
現場卸しの場合、現場で使う材料を1回で運んでしまうのが普通なので、外壁材なら1枚10〜25Kgくらい(サイズは180x90cmとか270x90cmとか)の物を50〜100枚くらい積みます。床材なら40〜80ケース前後(マンション等)、モルタルなら30〜60袋(25Kg/袋)くらいですね。現場卸しの配送が回ってきた場合は店卸しの荷物と積み合わせにならないように1便1件で済むように配車担当が調整してくれたりはしてたようです。積み込みはフォークリフトですが卸す時は勿論手卸し。マンションの現場等ではラフタークレーン(街でよく見る移動式クレーンってヤツ)が来てるので、それで吊って貰えるので楽ですね。

配送地域は関西全域でしたが、端っこの方まで行く事はあまり無くて各府県のメジャーな市街へ行く事が多かったです。年に1〜2回何故か広島や岡山、名古屋、長野等に行く事がありましたが。関西圏内でも和歌山の串本辺りに行った時はもうこれ1便で1日仕事でしたね。片道5〜6時間くらい掛かりますので。
この仕事では私が勤務してた会社以外に3〜4社の運送会社が入ってました。クルマは名古屋や兵庫、大阪、滋賀・福井方面等の定期便は4tロングの平ボディかウィング、現場メインの小口便はクレーン付き4tショート、2tワイド、2t標準(いずれも平ボディ)。

勤務してた会社は高速代が荷主指定以外は運転手負担(自腹)だったので極力使わない。
見た目は(トラックの大きさは)4ナンバーなのに1ナンバーで中型料金を取られるのが悔しいのでw、2便目がある時はともかくとして、行きも帰りもなるべく高速は使わないようにしてました。大きさが乗用車と変わらないという事もあって裏道等にも平気で突っ込んで行けるのは良かったかも。
社速は一般70Km/h、高速90Km/hでした。一時期、タコグラフの記録を如何に綺麗に残せるかというある意味くだらない事に一生懸命だった事があるんですが、後ろから煽られようが何されようがぴったし社速厳守で走るのが結構楽しかったですねw

あと給料ですが、歩合制だったので安定しませんが手取りで20〜25万くらいでした。年末年始・5月連休・お盆等の休日の多い月だと15万くらい。うろ覚えですが、最高額は28万くらい、最低で10万くらいでしたね。ボーナスは無し(寸志という事で2〜3万は貰えましたが)。

以上のような仕事を3年ほどやってた訳ですが事情により辞めました。
体力的にハードな仕事で、就職した時は続けられるかなと心配でしたが割と何とかなるもんです。同僚は同年代の人から年配の人までいろいろでしたが、皆仲良くて雰囲気も良かったので、そういう点でも恵まれてたのかもしれません。他社の仕事仲間にも仲良くして頂けましたし。積み込みや初めて行く場所や走行ルートのアドバイス等も会社のしがらみ関係なく皆で助け合う感じで雰囲気はとても良かったですね。

ドライバーという仕事は今でも好きなので、機会があればまたやってみたいですね。4t以上のクルマにも乗りたいし。毎日家の布団で寝たい人なので長距離は無理でしょうけど。某所では社会の底辺の職業らしいけどw、そんなこと(゚ε゚)キニシナイ!!
たかだか3年くらいしか経験してませんし、全然役に立たないかもしれませんが質問等あれば聞いてください。まあ、ここを見てる人自体が圧倒的に少ないんで無いかなw


豆知識というか余談
その他のネタとしては、事故は物損が2回、違反や荷物事故は無し。動物を轢いたことも無し。事故を目撃した事は何回か。居眠り運転はしそうになった事が何回か(これは忙しくて寝る暇が無いとかではなくて、私の個人的な事情でですが。朝早いのに夜更かししてたとか)。

パンクは2回あります。1つはフロントの左タイヤのバーストだったんですが、この日は軽い荷物でバーストしても操作不能になるという事は無かったのでラッキーだったかも。近くに安全に停められるスペースがあったので、そこまで移動してきちんと三角停止板を出してスペアタイヤと交換しました。ナットが全然緩まなくてとても苦労した覚えがあります。ちなみにこのバーストですが、タイヤのローテーションをサボってw 片減りしてたのと、釘か何かを踏んだのが原因です。パーン!という大きい音がするのですぐ分かります。

休憩は2便目が無い時は昼寝できるくらいありますが、忙しい時はクルマを止めて昼食をゆっくり食べる時間は無いです。そういう時はコンビニのおにぎりとかパンを運転しながら食べる(ツワモノだと信号待ちで弁当とかカップラーメンとかw)。とにかく走らない事には卸し先に着かないので。2便目が無い時はいつも昼寝してる訳ではなく、洗車や車内・荷台・用具の清掃や手入れ、会社に戻って日報の提出や雑用など、普段時間が無くてなかなかできない事をやるのに使います。

ちょっと悪い事を書くと、タコグラフをわざと付けないで走った事も何度かありますw
主に社速を無視して走りたい時にやってた事ですが、超特急便で行ってくれとか、うっかり寝坊したとか、理由はいろいろです。朝、トラックに乗ったら暖気してる間にタコグラフを付けるんですが、こういう時は付けるのを忘れてたという事にしちゃいますw 現役ドライバーの人はこんな事してはダメですよ。

過積載は幸いにも経験した事は無いですね。荷物のカサ(大きさ)と荷台の広さ的に3t以上の荷物を積む事自体が無理だったので。


・シート掛けについて
平ボディの場合、雨や霜・雪から荷物を守る為にシートを掛けますが、シートの掛け方は運転手それぞれにこだわりというかやり方があるので、他の運転手が手伝う事はあまりありません(少なくとも私が働いてた職場では)。シート掛けという行為自体は水濡れ以外にも荷物を固縛する効果もありますし、中身が見えない事で荷物の盗難からも守る事ができる。シートに使うゴムは不要になったタイヤチューブを切って使ってました。わざわざ市販品を買うのはアホらしいという事で。経費もかさむし。
シートは使ってるうちに劣化するので(荷物の角で破れて穴が開いたり、磨り減って薄くなったり)、補修したり、新品に交換したり、シートを二重に掛けたり(1枚目はブルーシートで代用も可)などします。ちなみに重さは4t・10tクラスのだと1枚で30Kg前後(もしくはそれ以上)あると思います。トラックがよく毛布を積んでる事がありますが、これは荷物の角でシートを傷めないようにする為の角当てに使います(荷物の保護・緩衝材としても使いますが)。
ちなみに私の勤務してた会社・積み込み先の会社では荷台自体の水濡れを禁止してたので、曇りや雨の日は空荷でもシート掛け必須でした。夏などはシート掛けだけで一汗かきます。

・トラックの燃費について
私が乗ってた2tエルフは排気量4.7リッター(4.5か4.6だったかも)の5速MTでしたが、5Km/Lくらいでしょうか。大型車だと排気量10リッター以上で2〜3Km/Lくらいだそうです。
燃料タンクは仕様や架装によって様々ですが、乗ってたエルフは100Lタンクでした。単純計算で500Kmくらい走れるという事ですね。ただ、いつ遠い所まで行く事になるのか分からないので、宵積みが終わった後はほぼ毎日給油に行ってましたね。宇佐美や鈴与・一光等の指定GSで入れる事になってるので、行き先のルート近くにGSがあるかどうかも考えて行動したりしてました。給油できそうに無い場合は適当なGSで自腹で給油して、後で会社に請求する事もありました。

・ダンプカーに自家用ナンバーが多い(多かった)訳
ダンプが白ナンバーで営業?できる理由は、運送業ではなく販売業だから。土砂を運ぶ仕事ではなく、積み込み場で土砂を買い取り、卸し先でその土砂を販売するという仕組みです。ダンプに積んでる間は自分の持ち物なので自分の荷物を運ぶのに営業ナンバーを取得する理由は無いという理屈です。

販売業でも事業という意味では変わりないのだから会社を興す必要があるんですが、私たちが個人の所有物を中古ショップで売ったりオークションで売買したりするのと同じノリでやってるので、税金逃れという側面がとても強いです。
この件に関してはもうだいぶ過去の話になりつつありますね。今はきちんと会社を興して運送業や販売業としてダンプを運行してる所が殆どだと思います。ダンプと言っても何でも運べる訳ではなく積める品目には制限があります。詳しい事は各自で調べて下さい(私も調べないとこれ以上のことは分からん)。


投稿者 pete379jp : 2005年10月23日 00:00